天空の姫Ⅰ ~二人の皇子に愛された娘~


「白蘭のことだが…なにか変わりはないか?」

「変わりと言いますと?」

「今朝、白蘭に火炎術で出来た怪我があった。意味は…わかるな?」

「確かに白蘭は魔宮で下級の侍女にも嫌がらせを受けてはいましたが、些細なことでした。それが…火炎術までですか…」


雪梨も思い当たる人物がいるようだ。


「本日玲心様と白蘭が接触を。おそらくあの双子の手引きでしょう」


やはり玲心か。


「…そうか。」


火炎術はまともに食らえば怪我では済まない恐れがある。ただの嫌がらせにしてはやりすぎだ。


「紅蓮様、どこへ?」


私が皇太子宮とは別方向へ行くのをみて雪梨は聞いた。


「白蘭のところだ」


なぜか無性にあいつの笑う顔が見たくなった。

雪梨にはまた咎められると思ったが何も言わなかった。




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