社長、それは忘れて下さい!?
Phase_2

2-1. Faint gaze


「藤川さん、リストの反映完了しました。それと午前中の議事録上がってきてるので、チェックお願いします」
「オッケー。俺も稟議書の入力終わったから後で確認しておいて」
「日付順でソートしたんですか?」
「いや、部署順。その方が後から検索しやすいかと思って」
「そうですね、了解しました」

 社長が業務を円滑に進めるためには、秘書である涼花と旭にも迅速で丁寧な作業や対応が求められる。

 いつものように様々な部署から持ち込まれる案件の全てに目を通し、さらに精査する。この中から龍悟に報告するものはおよそ半分程度になるが、忘れたころに『社長に報告した』と言い出す社員もいるので、秘書はすべてを把握して完璧に処理しておく必要がある。中には面倒な案件もあるが、二人で取りかかれば作業は早い。

 とりあえず本日中に終わらせるべき仕事を終わらせると、揃ってPCの電源を落とす。二人のPCがシャットダウンされたことに気付き、龍悟も顔を上げた。

「お疲れさん。今日はもう一仕事だな」

 龍悟の労いの言葉の後ろには、本日最後にして最大の仕事を思わせるワードがついている。接待だ。

「帰りたいです」
「俺だって帰りたいよ」
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