社長、それは忘れて下さい!?


   *****


 龍悟の部屋を揃って出ると、駐車場にあった彼の愛車の助手席に乗り込む。車が発進してしばらく経った頃、龍悟が思い出したように『あぁ』と呟いた。

 涼花が龍悟の顔を見上げると、少し不機嫌そうに

「今日の合コン、行くなよ」

 と言い含められた。
 そんな馬鹿な、と思いながらも、ちゃんと言葉で否定する。

「行きませんよ」

 会社を休む分際でその日のうちに合コンなど行くはずがない。それに身体が思うように動かないのだから、行けるはずもない。そもそも合コンではないと言っているのに。

 エリカに謝罪と連絡をしなきゃ、と思い、バッグからスマートフォンを取り出す。ふと真っ暗になったスマホの画面に龍悟の横顔が映ったので、涼花は何となく龍悟の横顔を盗み見た。

 合コンに行くな、と窘める声が鋭かったので、てっきり怒っているのかと思っていた。だが見上げた龍悟の横顔が想像よりもずっと上機嫌だったのが、なんだか少しだけ不思議に思えた。

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