きっと蛍は泣いていた
プロローグ
プロローグ




線香の匂いが残る午後6時。




親戚達の笑い声がどこか他人事のように遠くで響いてる。




「本当に死んじゃったの?」




お母さんとお父さんが二人で笑う写真を抱きしめて静かな空間に一人尋ねる。





声も出さずに一人でうずくまって涙を堪えた。




私の涙なんかいらない。





大切な人は私を置いて消えていく、誰も大切だと思わなければ痛くない





心の中で繰り返される暗示はいつからか私を縛る呪文になった。





音も匂いも感覚も全て忘れてしまおう、


そうすれば何も痛くないんだから。










これは迷子の向日葵がもう一度上を向くために夏を探す、そんなお話。







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