スパダリ外交官からの攫われ婚
「美菜さんは、どうしてこの話をそう強引に進めたがるんだい? そんなに早く琴に出て行って欲しいのか、それとも……」
その優造の言い方に琴はズキンと胸を痛める、分かってはいたことだが言葉にされると心に刺さる。継母の本音なんて、ずっと前から琴だって気付いてはいたのに。
しかし継母の美菜は優造の言葉に顔を真っ青にさせる、まるでそれが図星だというような反応に琴も優造も信じられない気持ちになった。
「美菜さん、君はまさか……?」
「ち、違うの! 私は何も……っ」
そんな美菜に注目が集まったその時、部屋の扉がもう一度大きく開き息を切らせた准一が中へと入ってきた。彼はさっきの美菜のように怒りで顔を真っ赤にしている。
さすがにそんな准一に琴が申し訳なく思っていると……
「どういうことですか、美菜さん! これでは約束と違う、頼まれた援助の話は無かったことにさせてもらいますよ!」
准一の言葉にその場にいた全員の視線が美菜へと向かう、まるで信じられないというように。
「美菜さん? 援助というのは何の話なんだい、僕はそんなの一言だって……」