スパダリ外交官からの攫われ婚
攫って結婚式って本気ですか
「こ、ここですか!?」
連れてこられたのは歴史を感じさせる教会で、美しく重味のある外観は琴には一生縁のなさそうな場所だった。
まさかこんな場所で結婚式をしようというのだろうか? 急に結婚式をするというから、もっと小規模な式場を予想していたのに琴の頭の中はパニックになっていた。
「そうだ、結構無理を言ったからあまり時間がない。出来るだけ協力してくれよ、俺の花嫁」
そう言って加瀬は琴のと手をつないでさっさと歩きだす。そのまま入り口に立っていたスタッフに預けられ、琴は加瀬と別の場所へと連れていかれた。
そこからの事は、琴もあまりの慌ただしさによく覚えていない。振袖を脱がされ着せ替え人形のようにあれこれ着せられて、スタッフの女性二人が満足する仕上がりになった頃には琴はもうクタクタだった。
「とてもお綺麗ですよ、きっと新郎様もびっくりなさるはずです!」
「あ、ありがとうございます……」
頭からつま先までずいぶん弄られたので、これで綺麗になってなければ逆に悲しくなるかもしれない。そう思って琴が鏡を見せてもらうと……
「う、そ?」