フォンダンショコラな恋人
「モデルの写真、見せてくれる?」
翠咲がそう言うと、愛梨沙は翠咲にタブレットを差し出した。

写真は愛梨沙のイメージにいかにもピッタリのガーリーなものや、ゴスっぽいものの他に、出勤などでも着られそうな普段着の写真などもあったが、どれも魅力的でとても可愛い。

「可愛いわね。愛梨沙ちゃん、お人形さんみたいに可愛いけれど、モデルって身長が高くないといけないのかと思ったわ」

「それはファッションモデルでしょう。ランウェイを歩くのには身長がないとね。私みたいのはSサイズモデルというの。等身のバランスがとれていれば、写真で見ると身長はあまり関係はないわね」

言われた通り、写真で見ると身長はあまり低いようには見えない。
実際の愛梨沙は翠咲よりも小柄なのだ。

「ふーん、すごいねぇ。愛梨沙ちゃん、プロなんだね……」

しかし、こうして見る愛梨沙の表情は薄いのに、例えば普段着のモデルの写真などはいかにも会社にいそうな可愛いOL、という感じだ。

表情すらも自在に変えられるところは本当にすごいと翠咲は感心してしまった。

──まあ、確かに陽平さんの妹さんなら綺麗でも納得なんだけど、まさかモデルさんとはねぇ……。
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