フォンダンショコラな恋人
21歳と言えば普通なら大学にでも行っていそうなものだが、愛梨沙はインフルエンサーなのだという。

翠咲は分からないことを分からないまま済ませておく性格ではなかった。

「ねえ、愛梨沙ちゃん、インフルエンサーって何なの? さっきはSNSで情報を発信する、と言っていたけど」
愛梨沙は「その通りよ」と言ってから少し考えて、
「翠咲さんSNSやってる?」

「ん……まあ、一応は。あまり自分から発信はしないけれど」
「普通はそうね。フォロワー何人?」
「300人……くらいかなあ……」

最初は顔を知っている人だけだったはずなのに、気づいたらそうなっていたのだ。
それでも翠咲には多いような気がする。

「私のフォロワーは3万人なの」
「え……すごくない?」

「全然よ。目標はせめて10万人なの。私くらいのはマイクロインフルエンサーと呼ばれていて、料理とか美容、ファッションなんかの特定の分野に特化している人が多いって言われてるわ。フォロワーとの距離が近くて、親近感があることが売りなのよ」

こうして話を聞いていると、やはり成人しているのだと感じるし、自立している感じがする。
しかも年齢の割にはしっかりしているような気がした。

「フォロワーが多いことがお金になるの?」
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