フォンダンショコラな恋人
果たして問題ないのか……判断出来かねたので、事務所に確認をする。
『行ってくれば?』
電話の向こうは気楽な声だった。

「問題ないだろうか?」
『懇親の範囲なら、問題ないし、人間関係がスムーズな方が仕事が進めやすいぞ。特にお前はそういうの、苦手そうだから、行ってこい』

苦手そうだから止めておけ、ではないのか……そう思いながら、倉橋は電話を切った。

「あ、事務所から許可出ました」
そういうと、センター長は喜んでくれる。

「いやー、倉橋先生が来てくれたら、女性陣がこぞって行きたがりそうだなあ。今回は役席だけに声をかけましょう。近くにいい店があるんです」
センター長がそう言って連れて行ってくれた店は、個室もある小料理屋で雰囲気も味も良い。

ここなら一人で帰りに寄ってもいいな。

倉橋がそんなことを考えていた時、
「ありゃ……」
という声が聞こえた。

「あれ、うちの連中じゃないですか?」
「だな。ちょっと挨拶してくる」

そう言って、その場を去ったセンター長が戻ってくる。
そして倉橋に申し訳なさそうな顔を見せた。
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