フォンダンショコラな恋人
気詰まり……なんて思っているのは私だけか。
倉橋に限ってはそんなこともなく、全く普段通りに見えるからだ。

この人が気まずいなんて、感じる訳がないしね。
君と行きたかった、とはどういう意味なのだろうか?
打ち上げ?的な?

「倉橋先生、……あの、すみません。私が来ちゃって」
何だかいたたまれなくなって、翠咲はそっと倉橋に話しかけた。

「どういう意味だ?」
ちらりと翠咲を見た倉橋は、緩く首を傾げる。

「ん、えっと、他にお声をかけたい方とかいらっしゃったんじゃないのかなぁって」
隣から、はぁ…と軽いため息の音が聞こえてきた。

「君と行きたかった、と言わなかったか」
「言いました」
けれど、理由が分からない。

だって、ため息とか……つくか?!

他に誘えばいくらでも行きたい!と言う人はいる場所で、この人ならば下世話な居酒屋だって一緒に行きたいという人がいるだろう。

少なくとも翠咲は、悪口を聞かれたり嫌いだと言ったりしてしまっている。
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