フォンダンショコラな恋人
それは最初の頃よりは少しは理解し合えたかもとは思うが、倉橋だって、おそらく好意的には思ってはいないだろうと思うのになぜ翠咲なのか分からないのだ。

「君と行きたいと思ったから君を誘った。それ以外の理由はない」
きっぱりと言い返されたそれは論理的なようで、けれどやはり翠咲には疑問が残ったのだった。

だから、なんで私と行きたいと思うのよ?



「うわー。美味しいっ!」
前菜は彩りの良いマリネから始まった。
鰆を軽い燻製にしたものに野菜のマリネ、キャビア添え、だ。

華やかで、味も当然文句はない。
野菜までカラフルで綺麗だ。

「うん。燻製というだけあって、少しスモーキーな感じがいいな」
「繊細な味付けですねぇ。キャビアが合います」

倉橋がリザーブしていた席は、庭がよく見える窓際の席だった。
グリーンの映える庭が綺麗にライトアップされているのが、座っていても楽しむことができる。
< 70 / 231 >

この作品をシェア

pagetop