フォンダンショコラな恋人
自分の手柄ではないからと翠咲は固辞したが、一担当者が固辞したからといって、何とかなるものでもなく、なんだか立派な会で、立派な表彰状と盾をもらい、副主任の肩書きを貰って、今の部署に転勤になったのだ。

仏も昇進したと聞いている。

会社の中では評価を上げはしたものの、翠咲としては少し苦いその経験は、いい経験にはなった。

その後、傷害という全く違う分野への異動は、気持ちの切り替えをするにしても、有難い異動だった。

そして、畑違いの分野で仕事をすること数年、先日主任に昇進し現在に至るわけなのだ。

そして、今問題になっている案件は、過剰な契約によって、支払いが高額になりそうな案件である。過剰な契約は不正請求の温床ともなりやすい。

疑義案件、すなわち疑いのある案件であり、できれば翠咲は支払いはしたくない。
その旨上申していたのだが、支払謝絶するにも問題ないのか弁護士に相談するようにと上席からの指示があった。

『保険金を払いません』と言うと、どんなことが起こるのか。
まず、了承してくれる人はいない。
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