フォンダンショコラな恋人
「……っん」
鼻から抜けるような甘えるような声が漏れてしまって、その瞬間スイッチが入ったかのような倉橋に、口の中まで深く探られるようなキスをされる。

舌先で甘く絡めとるような、探るようなそのキスに翠咲はなすすべなく、ただ必死で息をして崩れ落ちないように、倉橋にしがみついていた。

甘くて蕩けそうで、くらくらとするそれにやっとの思いで翠咲は倉橋を両手で押した。
こんな真っ赤な顔は見られたくない。

それに……すごく良かった、なんて認めたくない‼︎

「どうして押すんだ?」
「……っ、先生こそ、どうしてキスなんてするんです?」

昼間も今もなんて事故じゃない絶対に!

「そんなの、好きだからに決まってるだろう」
当然のことをなぜ聞くんだと言わんばかりの口調で言われた。

「あなたの……そういうところがっ……」
「そういうところが……?」

真っ赤な顔で翠咲は倉橋を睨みつける。
倉橋の顔には言ってごらん、と言わんばかりの表情が浮かんでいた。
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