主人と好きな人。

龍之介のバイトが終わる少し前に家を出た。
駅のホームには仕事帰りのサラリーマンや飲み会後なのか
少し足元がふらついてる女の人、
朝や夕方とは少し違う光景を目にした。
私の方が待ち合わせに早めに着いたのでビーフシチューを入れた紙袋を
ベンチに置きその隣に腰を下ろした。

健次はどこで誰と何を食べてるんだろう。
龍之介は親しげに話してくるけど、私の事いつから知ってたんだろう。

もやもやしながらボーっと考えていると肩をポンっと叩かれ振り返る。


「おまたせしました!遅くなってごめん!」


肩で息をする龍之介。バイト先から走ってきたのだろうか冬なのにじんわり汗をかいている。

「走ってきたの?」

「ゆかさん・・・待たせちゃいけないって思ったけど・・・引きつぎの子が遅刻しちゃって・・・。」


乱れた息をはさみながら龍之介が隣のベンチへ座ってくる。


「別に良かったのに(笑)」

「いやいや。女の子がこんな時間にひとり駅にいるとか危ないって・・・。」

「・・・・女の子じゃないけどね(笑)」


28にもなって女の子扱いされたことが照れくさくて目をそらした。
すると隣から龍之介が頬にキスをしてきた。


「ちょ・・・。」


リアクションを取る前に龍之介が私の肩に頭を乗せてきた。
いつかみた映画のような光景を自分がしてると思うと恥ずかしくなってきた。


「ゆかさんは女の子だよ。」

「子では・・・ないと思うんだけど・・・。」

「いいんだよ俺から見たら女の子なの。」

「歯の浮くような事よく言えるね・・・。」

「浮かないよ?」


どんな顔して言ってるのかと思い左肩に目を向けてみると、
少し呼吸の整った龍之介が目を閉じて微笑んでいた。


「あ・・・これ。」


あたしの声に龍之介が頭をどける。


「ビーフシチュー。」

「あ!!ありがとう!」


片手で手渡すと龍之介は両手を紙袋を受け取った。


「ええええめっちゃ嬉しいー!」

「そんな大したものじゃないけど・・・。」

「大したものだよ!!!ありがとう!」


八重歯を見せ嬉しそうな顔をする龍之介。
手料理をこんなに心から喜んでくれる事に胸が熱くなる。


「そんな嬉しいなら、今度ご飯作りに行ったげようか?」

「えええ?!まじ?!」

「何がすき?」

「ゆかさん。」

「いや、そういうことじゃなくて・・・。」

「ハンバーグ!!!!!」


子供みたいにな食事が好きなんだなと思って口元がニヤニヤしてしまう。


「何で笑ってんのー!」

「いやごめん何でもないよ(笑)」

「笑ってんじゃーん!」

「ごめんって(笑)」



「ゆか?」


くだらない会話をしていると右隣から聞きなれた声がした。
ゆっくり振り返るとそこには健次がいた。



「けんちゃん・・・・。」




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