星に愛された彼女は
※ストーリーには関係ないおまけ話なので読まなくても大丈夫です!

中学2年生の頃

~夏~




「みーれい、みれい〜、みれ─
「うるさい」

ミーンミンと、蝉の鳴き声がうるさい

暑い中、迷惑な鳴き声が聞こえてなんだかイライラする。

あー…

消えてくんないかな…

チッと舌打ちを漏らすとソファーに寝っ転がる。

無駄に大きいソファーなので伸び伸びと足を伸ばす。

ふぁ~、と大きく口を開いてあくびをするとそういえば怜が話しかけてきたような…?と、思い出す。

「…怜?さっき呼ん…って、どした」

怜に声を掛けようと視線を怜に向けるとメソメソと向かい側にあるソファーの上でふてくされている怜を見つける。

「どっかケガでもしたのか?」

適当に思いつく理由を浮かべて投げかけるが怜は

「……僕は美玲にとって邪魔なんだ…」


と、ボソリと呟いた。

………何を言っているのだろう

何か言ってしまったかと不思議に思い記憶を振り返るが怜に酷いことを言った覚えもなければそんな対応をした覚えもない。

「邪魔じゃない」

とにかく誤解を解こうとそう言ったが怜はなかなか機嫌を直さない。

「美玲が言ったんでしょ…うるさいって…消えろって…うぅ…」

じわじわと目に涙を浮かべる怜に本格的に焦り始める。

えっ…うるさい?消えろ?

体を起こしてソファーに腰掛ける。

私が?怜に?嘘だろ…?

私がそんな言葉を怜に使うことはない、死んでも使わない、死ななくても使わない。

だが、さっきまで似たような言葉を思い浮かべていたのでまさか…?とあり得ないと思いつつ怜に声を掛けた。

「もしかして…ソファーに倒れる前に消えろって言ってたか?」

恐る恐る聞くと怜はコクンと小さく頷いた。

…やったなこれ

完全にやらかしてしまったとはぁ…とため息をつく。

「ごめん、違う、それは怜に対してじゃない。」

そう言うと怜は涙をためた目を見開いた。

「ほ、ほんとに…?」

「ああ。セミがうるさいから消えればいいのにって思ってたのが声に出てた。」

悪い、と謝ると怜は立ち上がって私の体にガバッと抱きついてきた。

「うわっ…」

なんとか受け止めようとしたけどそのままの勢いでソファーに倒れ込む。

「ちょ、怜…危な──」
「今回は許してあげるっ!」

にぱっと可愛らしい笑顔を浮かべた怜にグサリと心臓に矢が突き刺さる。

かわいい…天使…私の弟は人じゃなかった…

「ん…ありがと」

笑い返すと怜は私の上から退いて手を貸してくれた。

「美玲、夏休みいっぱい遊んでね!」

キラキラしている双子の弟の笑顔に私は目を細めて頷いた。


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