(仮)愛人契約はじめました
 

 蓮太郎にゲームをしようと言われたとき、ちょうどガラスの徳利(とっくり)に入った日本酒つきのお夜食が届いた。

 ほんのり温かい色合いの照明に照らし出された小さな和室で、向かい合い、籠に入ったフカフカのおむすびを食べる。

 中に入っていた細切りの漬物の塩加減が絶妙で美味しかった。

 思わず、イラストつきでメモする。

 夜食に出したら、お義母さんたちが喜びそうだともう家を出たのに思ってしまった。

 ……でも、誰かにいつか、作って出したいな。

 お母さんは忙しくて会えなさそうだし。

 お父さんはいつも居所が知れないし。

 チラ、と唯由は蓮太郎を見上げた。

 すると、蓮太郎は唯由の絵を見ながら、

「お前の絵って、あれだな。

 ほら、……流行りのヘタウマ」
と言ってくる。

 褒めているのか、微妙だな。

 ……いや、褒めてないな、たぶん。


 
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