辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
 ***


 苔がむしてひび割れ、荒れ果てていた小径は黄土色の石畳に置き換わり、立ち枯れていた古い木は撤去する。けれど、今も美しく咲くバラや立派に育った大きな樹木はそのまま残して。

 中庭の造園はとても順調だった。

 今の状態を最大限にいかしつつ、古い部分は新しく変えてゆく。朽ち落ちていたガゼボも撤去され、空いた空間には真新しいガゼボが設えられた。ガゼボの中には小さなテーブルと、椅子が四脚用意された。真っ白なガセボだけを切り取ると、王宮の庭園と遜色ないほどだ。

「奥様。あちらはあれでよろしいですか?」

 ガゼボの完成具合に見惚れていたサリーシャに、庭師がおずおずと声をかける。そこには、L字を二つ、逆字に重ねたような形に植木を植えた空間があった。今は仮植えのために並べただけなので隙間から中の空間がみえるが、じきにあの王宮の庭園にあった秘密の場所のようになるだろう。

「ええ、ありがとう。素敵だわ」

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