辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する

「エレナ様はきっと今頃、殿下がお近くにいらっしゃらなくて大層寂しがっておりますわ」
「そうかな?」
「そうですわ。だって、わたくしもセシリオ様が一日いらっしゃらないだけで、とても寂しくて──」
「なんだ。ただの惚気か」

 呆れたように呟いたフィリップ殿下は、両手を上に向けて肩を竦めて見せる。そして、サリーシャの顔を見て微笑んだ。

「サリーシャと久しぶりに話せて、楽しかった。アハマス卿と共に、近々王宮に来てくれ。最大限の歓迎をしよう」

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