辺境の獅子は瑠璃色のバラを溺愛する
エピローグ
■ エピローグ


 サリーシャとセシリオは広い王宮の庭園を散歩していた。

 先ほど無事に国王陛下との謁見が終了し、サリーシャとセシリオはそれぞれ褒賞を賜った。サリーシャが賜ったのはエレナとお揃いのドレスと、それを着て王太子夫妻の結婚式の舞踏会に参加する許可、それに、王族からの直々の礼の言葉だ。そして、セシリオが賜ったのは金一封と王族からの直々の礼の言葉、そして、新たな勲章だった。

 久しぶりに歩く王宮の庭園は、やはり素晴らしかった。上から見ると左右対称の幾何学模様のように見える庭園は、遊歩道を歩くと美しい花々と緑のコントラストが完璧までに計算しつくされている。足元を彩るパンジーやビオラ、その奥には少しだけ背の高いガーベラやアリウムが咲いている。そして、一番奥にはルピナスが紫色の花を咲かせていた。
 緑色の背の高い植栽は庭園の区画を区切るのに利用されており、花の園を抜けたと思えばその向こうには見事な噴水が広がり、かと思えば他方はガゼボが設えてあり、穏やかな時を刻んでいる。一部は植栽を用いた迷路など、余興にも使えるようになっていた。

「閣下。勲章の授与、おめでとうございます」
「ありがとう。だが、もう正装用の軍服が勲章だらけなんだ。付ける場所が殆ど残っていない」
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