政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 見つめられたまま食べることに気恥ずかしさを感じながらも、さっき航君が『冷めないうちに食べようか』と言っていたことを思い出し、ますはキノコのクリームパスタにフォークを伸ばす。

 一口分を巻き付けて口に運ぶと、あまりのおいしさに目を見開いた。

「おいしい……。おいしいです、航君」

 キノコのうまみが詰まったクリームスープが絶品で、麺の硬さも絶妙でびっくりだ。

「それならよかった」

 安心した声で言う航君を見ると、嬉しそうに目を細めていて喉に詰まりそうになり、慌てて水で流し込んだ。

「健康のために始めた料理をするのが楽しくなって、色々と作るようになったんだ。だけど、こうして誰かに振る舞うのは初めてでさ」

 航君もパスタを口に運ぶ。

「うん、うまくできてよかった」と少しだけ頬を緩ませ表情に胸が高鳴った。

 最初は表情を変えずに淡々と結婚して子供産んでほしいなんて言う人だったのに、様々な顔をたくさん見せてくれた。

 すごく感情が表に出る人ではないけれど、だからこそ些細な変化に激しく胸を掴まれ、こんなにも心を乱されている。

 私とは言い伝えがあったから結婚したに過ぎない。そう言い聞かせなければ今後、ますます好きになってしまいそうだ。

 だって忙しい合間を縫って常に私を気にかけてくれた。夢のようなプロポーズをしてくれて、私を抱く手は優しく、何度も愛されていると勘違いしてしまうほどだった。
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