政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「千波……? いったいどうしたんだ!?」

 電話を終え、着替えを済ませた彼は泣いている私を見て驚き、駆け寄ってきた。

「なにがあった?」

 航君は心配そうに私に寄り添い、そっと涙を拭う。

「すみませっ……。さっき、伯母から瑠璃の心臓移植が決まったと連絡があって」

「本当か?」

「はい」

 すぐさま答えれば、航君は力いっぱい私を抱きしめた。

「よかった。……よかったな、千波」

 そう言う彼の声は震えていて、喜んでくれているのが伝わってくるから、せっかく涙を拭ってもらったのに再び涙が溢れ出す。

「航君のおかげです。本当にありがとうございます」

 大きな背中に腕を回して感謝の思いを伝える。

 航君が医療費を出してくれなかったら、海外での移植は叶わなかった。きっと今も日本で移植の順番を待っていたはず。もしかしたら瑠璃の心臓が持たなかったかもしれない。

「いや、瑠璃ちゃんが今日まで頑張ったからだよ。一日でも早く元気になって帰国できるといいな」

「そうですね」

 早く瑠璃に会って、そして航君を紹介したい。彼が私の大切な人だって胸を張って言えるから。
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