政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 きっと航君もあの場所に行く機会が多いはず。彼と結婚した以上、私も同席することになると思う。

 神屋敷ホテルといえば、庵野グループには劣るものの知名度も高く、世界各国にまで手広く展開している大企業だ。

 会社同士の繋がりや取り引きがあって、だから言い返せないでいるのかもしれない。

 彼と結婚した以上、神屋敷さんとはこれからも幾度となく顔を合わせる機会が多そう。だったら逃げずに立ち向かうべきだ。

 なにより彼女は航君の相手として私を認めていないのだから。

「悪いが……」

 航君が断ろうとしているのを聞き、慌てて口を挟んだ。

「あの、ぜひご一緒させてください」

 私の話を聞き航君だけではなく、神屋敷さんも驚いた顔を見せた。

「千波?」

 困惑する航君に自分の思いを伝える。

「神屋敷さんとはなにかと顔を合わせる機会が多くなるんですよね? それに私は社交界の知識は皆無です。ぜひ神屋敷さんにいろいろとお話をうかがいたいんです」

 ここで航君に断ってもらったら、神屋敷さんに自分の力ではなにもできず、航君に守ってもらうしかできない人だと思われてしまう。それだけは嫌だ。

 神屋敷さんが本気で航君を想っているならなおさらだ。好きな気持ちで負けるわけにはいかない。

「本当にいいのか?」

 心配そうに聞いてきた航君に大きく頷いた。

「もちろんです」

 どうすればいいのかわからないけど、神屋敷さんに航君の相手として相応しいと認めてもらい、諦めてもらわないといけないもの。

 強い気持ちを胸に抱いた時、彼女が割って入ってきた。
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