政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 そもそも神屋敷さんとは今日が初対面ではない。以前会ったことを彼女は航君に知られたくないのだろうか。

「もしかして例の言い伝えのお相手ですか? 大変ですね、貴重な休日に愛してもいない相手のご機嫌取りをしなくてはいけないなんて」

 航君は笑いながら言う神屋敷さんから守るように私の前に立つと、いつになく厳しい口調で言った。

「キミには関係のないことだ。変な詮索はやめてくれ」

「……っ」

 航君に冷たく突き離された神屋敷さんは悔しそうに唇を噛みしめる。しかしそれも一瞬で笑顔を取り繕った。

「ここで会えたのもなにかのご縁ですし、どこかでお茶でもしませんか? これから社交界で生きていくためにも、私とは良好な関係を築いておいたほうが彼女のためでもあると思いますし」

 神屋敷さんの言いたいことはなんとなくわかる。

 私も父の旅館が軌道にのっている時に、一度だけ親交のあるホテルの創設記念パーティーに連れていってもらったことがあった。

 まだ小さい頃だったから記憶は断片的だけど、とても華やかで豪華な食事が用意されているのに、大人たちは話に夢中だった。
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