政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「えぇー。じゃあ千波ちゃんの玉子焼きひとつちょうだい。そしたら教えてあげる」

 冗談じゃない。という言葉が喉元まで出かかったがぐっと飲み込む。

「わかった」

「やった!」

 しぶしぶ玉子焼きを佑志に渡せば、実に美味しそうに食べる。

「んー! 出汁が効いていてほうれん草が入っているんだ。なにこれ、すっげぇうまい。千波ちゃんってば料理上手なんだね」

「あぁ」

お世辞抜きに千波の作る料理はどれもおいしい。これまでは一食くらい平気で抜いていたけど、今では三食しっかり食べないと仕事に集中できないくらいだった。

「ほら、玉子焼きやったんだから約束通り早く話せ」

 千波の危機っていったいなにがあったんだ?

「わかってるよ」

 佑志は口をもぐもぐさせて俺が飲んでいたお茶を奪い、それを一気に流し込んだ。そしていつになく神妙な面持ちを見せると、周囲を警戒しながら声をひそめた。
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