政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
 両親にはいまだに俺たちのことを認めてもらえていない。だけど時間が解決してくれると安易に考えていたせいで、千波を悩ませてしまっていたようだ。

 本当なら俺が何度でも実家に足を運んで、両親を説得するべきだった。

「近いうちに実家へ行こう」

 そう心に決めて彼女の温かなぬくもりに触れ、眠りに就いた。

「うわぁ、今日もうまそうだな。千波ちゃん特製の愛妻弁当は」

 平日のお昼時、社内の食堂の片隅で書類を片手に昼食をとっていると、いつの間にか庵野グループの子会社で働いているはずの佑志が俺の弁当を覗き込んでいた。

 素早く隣に座って玉子焼きに手を伸ばす佑志の手を、すかさず払いのける。すると佑志は顔をしかめた。

「ケチ。ひとつくらいいいじゃん」

「だめだ。それよりもどうしたんだ? 本社に顔を出すなんて珍しいじゃないか」

 食べられる前に食べてしまおうとおかずを口に運びながら訪ねると、佑志はムッとなる。

「そんな言い方はないんじゃない? 兄さんが溺愛する千波ちゃんの危機を察知して情報を持ってきてあげたのに」

「千波の危機ってなにかあったのか?」

「まぁまぁ、そう慌てないでよ」

 もったいぶる佑志に苛立ちが募る。

「事によっては一刻を争うことだ。いいから早く言え」
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