政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「これで庵野家は安泰じゃな。どれ、佑志も呼んでお祝いにどこか食事にでも行こうか」

「それはいいですね」

「では行きつけにあそこにしましょうか? 千波さんにも気に入ってもらえるといいんだけど」

 勝手に盛り上がる祖父と両親に呆れながらも千波を見た瞬間、焦りを覚える。

「どうしたんだ? 千波」

 なぜか千波はお腹に手を当てて苦しそうに顔を歪めていた。

「すみませっ……なんか急に」

 なにかを言いかけて千波は意識を失い、俺にもたれかかった。

「千波!?」

 名前を呼んでも目を開けてくれない。

「大変だ、急いで救急車を!」

 祖父たちが慌ただしく家政婦を呼ぶ中、俺はこのまま千波になにかあったら……と思うと、恐怖で動けなくなってしまった。
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