政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「はい!」

 笑顔で返事をした私につられるように、伯父の表情も柔らかくなる。

「じゃあもっと千波が幸せになることを教えてやろう」

 含みのある言い方をして伯父は航君を見据えた。

「庵野さん、この度は本当に瑠璃の医療費を出していただき、ありがとうございました。無事に移植手術を終え、経過観察も良好なことから一ヵ月後に帰国することが決まりました」

 嘘、本当に? 瑠璃、日本に帰ってこられるの?

「それは本当ですか?」

 びっくりしすぎて声が出ない私に代わって聞いてくれた航君に、伯父は深く頷いた。

「えぇ、今朝早くに瑠璃に付き添っている家内から連絡をもらいました。……よかったな、千波。定期的な検診は今後も続けていかなくてはいけないが、生活するうえでこれまでのような制限はなくなる。今までできなかったことをこれからは瑠璃とふたりで思う存分楽しみなさい」

「う……ん、うん!」

 胸がいっぱいで言葉にならない。返事をするのがやっとだ。

「よかったわね、千波ちゃん。そうね、まずは千波ちゃんの体調が一番だけど、出産したら子供を私たちに預けて、妹さんとの時間も大切にしてあげて」

「ありがとうございます」

 お義母さんの気持ちが嬉しくて涙が零れ落ちた。
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