政略懐妊~赤ちゃんを宿す、エリート御曹司の甘く淫らな愛し方~
「そうだよね、私たちは普通の結婚をするわけじゃない」

 お互いの願いを叶えるために結婚するだけの関係。最初からわかっていたことだけど、私を気遣い、毎日連絡をくれていたから勝手に航君は、私との距離を縮めようとしていると勘違いしてしまった。

 伯父たちの前で私がボロを出さないように、せめて緊張せずに話せるようにしてくれただけなのかも。

 だけどそれさえもうまくできなかったから、明日はなにも答えなくていいって言ったんだよね。

 不甲斐なくて申し訳なくなる一方で、どこか落ち込む自分もいる。

 航君となら、結婚してからいい関係を築くことができるかもしれないと期待していたからかもしれない。彼が互いの願いを叶えた後、どうするつもりなのかわからないから不安が募る。

 いや、今はそんな先の不安に心を乱されている場合じゃない。借金だけではなく、瑠璃の医療費まで出してくれたんだ。しっかりと恩返しをしないと。

 彼が明日、なにも答えるなというならその通りにするまでだ。

 しかしなかなか気持ちを切り替えることはできず、重い足取りで部屋へと向かった。
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