私は天使に侵されている
その後美麗からの折り返しがあり、仕事が終わったらしく心底嬉しそうにバイクに跨がった来夢。

バイクを走らせ、美麗を迎えに向かった。

来夢がいなくなった、たまり場。
「来夢って、まさに“悪魔”だな」
明博が呟いた。
「あぁ、今回はさすがに、見ていられなかった…」
健悟も呟く。

「正直、もう関わりたくないな…」
仲間の一人が言い出した。
「でも、逃げられないぞ!」
「なんか理由つけて、族を抜けれないかな?」
「健悟さん、なんとかなりません?」
仲間達が、すがるように健悟を見る。

「一番やめたいのは、俺だよ!
でも、無理だ。
“地獄”を見るだけだぞ!」
健悟がみんなを鋭く見つめ言った。
そして更に続ける。
「抜けたいなら“地獄”を見るそーとーな覚悟がいる。
ある意味、死ぬより恐ろしい“地獄”」

「要は一生…夢野 来夢から逃れられないってことか……」
明博がブルッと震えて、呟いたのだった。

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そして来夢は美麗を迎えに行き、窓からファミレス内を見ていた。

同僚の従業員と仲良さげに話している美麗を見つけた。
「あの人、誰?」
来夢には遠く及ばないが、ハンサムな男性従業員と微笑み合っている。

来夢は言葉にならない、嫉妬心に包まれていた。

「……っつ…苦しいよぉ…
胸が痛いよ…美麗、助けて……!」

来夢はバイクに跨がったまま、うずくまるようにして胸を押さえていた。
「来夢!?どうしたの?」
「美麗、苦し…」
「え?ど、どうしよう…とりあえず、救急車!」
スマホを取り出す美麗の手をガシッと掴む来夢。

「いらない。早く、バイクに乗って!」
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