私は天使に侵されている
「え………」

いつもの来夢の可愛らしい笑顔が目の前にある。

でも何かが違う━━━━━━

とにかく美麗は、恐ろしかった。
これから自分はどうなるのだろう。

「美麗」
「な、何?」
「ダメだよ?」
「え…?」
「僕が言ってるのは、美麗が僕以外の人間に笑いかけた事。僕以外の人間と話をしたこと。話の内容なんて関係ないんだよ」
「で、でも…お仕事中だから話するし、時には笑うことだって……」
「でも、ダメ」
「だったら私、お仕事できないよ……」
「あ、そうだね!
じゃあ、辞めちゃう?
大丈夫だよ。美麗には僕がいるし!」
「でも来夢は、まだ学生さんだし」
「バカだなぁ、美麗は。
まぁ、そんなとこも可愛いけど!」
「え?」
「“普通”の学生には無理だよ。
でも僕は“夢野 来夢”だよ?
普通じゃないでしょ?」
「お父様が養ってくれるってこと?」

「うん!
パパはね…僕の言うこと、なーんでも聞いてくれるんだぁ~」

「でも私はただの来夢の恋人だし、お父様は嫌じゃないのかな?
確かに今現在も養ってもらってるみたいなものだけど……」
「美麗は僕の恋人じゃないもん!」
「え?」
「美麗は僕の“婚約者”だもん!」

「…………え!?」

「え?って、まさか僕と将来別れること考えてたの?」
「あ、いや、そうゆうわけじゃないけど……」
「別れるなんて、例え冗談でも聞きたくない。
吐き気がする」
「来夢…」
「美麗も僕から放れないって言ってくれたじゃん!」
「うん…そうだね」
「だから“婚約者”!!でしょ?」

「う、うん。
でも、お仕事は続けたい。できる限り、お仕事以外で話をしないようにするから。お願い……!」
来夢を見上げ、懇願するように言った。
「可愛い////
もっと、言って~?」
「お願い…」

「フフ…可愛いなぁ////
わかった、いいよ!でも、約束守ってね!
じゃないと、とんでもない事になるよ?
美麗ももう、わかってるでしょ?
僕がどんな人間か」
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