私は天使に侵されている
湯佐野 来武(ゆさの らむ)
最近、人気急上昇中の若手俳優だ。

確かに先週の休みに来夢と出かけた時、雑誌を見ていた。
その時来夢は、電話をしていてその間だけ立ち読みしていただけなのだが。
しっかり見られていたようだ。

「美麗はあんなのがタイプなの?」
「あ、いや…人気急上昇中って書いてあって、確かにカッコいいなぁとは思ってたけど、来夢くんの方がカッコいいよ」
「え!?今の!もう一回言って!」
「え?来夢くんの方がカッコいい」
「嬉しいーーー!!
じゃあ…早く、恋人にしてよ!」
「うん」
「え……?」
「……………え?え?私、今、何て?」

無意識だった━━━━━━━
本当に、無意識に受け入れていた。

「今、美麗“うん”って言った!」
「あ、いや、その……」
「嘘!嬉しいーーー!
じゃあ、もう美麗は僕の彼女ね!
あ!だったら、今からデートしよ?
どこ行きたい?」
そう言って、来夢は一度座り直し美麗と向き合った。

「え?いや、違うの!いや、違わないけど!
あーー!ごめん!」
美麗は少々混乱していた。

「え?まさか、嘘なの?
僕をからかったの?」
悲しそうに顔を歪ませる。
「え……あ、違うよ!
ほんとだよ?
あのね、私……私も、す、す、好きだよ…来夢くんのこと」
顔を赤くし、俯く美麗。

「………」
そんな美麗を来夢は、無言で抱き締めた。
「嬉しい……ありがとう、美麗……!」
「うん…」
腕を緩めた来夢は、美麗の顔を覗き込んだ。

「………/////な、何?」

「美麗、僕も大好き……!
大切にする。だから、僕から一生…放れないで?
ううん……放さないから……!」
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