推し活してたらいつの間にか愛されてました
そんな事を考えながら、りゅいくんの国宝のような顔面をチラチラ眺めていると……わたしは最悪の事態に気が付く。
「そ、そういえば……あの、入学式の時間……」
「お、やべぇな。もうとっくに過ぎてる」
スマホを恐る恐る確認すると、時刻は9時を回っていた。
怖いのは、入学式に遅刻するのが確定したからじゃない。
りゅいくんの顔面を見ていたら、30分がこんなにもあっという間にすぎることが分かってしまったから。
「もう、手遅れだけど急ぐか……」
「え……? わ、ちょ、あの……!」
何を思ったのか、りゅいくんはこちらへと一直線に向かってき、わたしを軽々と持ち上げた。
「ちょ、やめてください……!」
「嫌、だったか……?」
りゅいくんは悲しそうにシュンとそう問いかけてきた。
ずるい、てか……顔良っ……
「違くて……その、わたしなんかが、りゅいくんとこんな近くで……」
「……? それ、なんか関係あんのか?」
今度は不思議そうに返され、思わず口ごもる。
関係大ありなんだけどなぁ……
顔だって真っ赤だし、鼓動なんて爆発しそうなほど速い。こんなの耐えられない。
「あの……ほんとに……無理……」
「大丈夫か……?! おい、目ェ開けろ!」