推し活してたらいつの間にか愛されてました

✤これは現実?✤


 目が覚めると、視界には無機質な白い天井が広がっていた。
 アルコール消毒の匂い……知らない真っ白のベッド。

 保健室……どうして?
 なんだか、幸せな夢を見ていたみたい。

 りゅいくんに会って、それでお姫様抱っこまでされて……やばい、オタク特有のニヤニヤが止まらない。

 スマホのロック画面にいるりゅいくんを見て、心を落ち着かせることにした。

 そうだよ、妄想なら毎日ずっとしているじゃない。いまさらお姫様抱っこごときで動揺するなんて、わたしもまだまだ修行が足りてないんだ。

「あら、目が覚めた?」

 ベッドの周りを囲っていたカーテンの外から声を掛けられる。

「私はこれから職員室に行くから、良くなったら教室に戻りなさいね」
「……はい」
「あ、ここに運んできてくれたひとに、お礼ちゃんと言うのよ?」

 ここに運んできてくれた人……
 そうだ、わたしってどういう経緯で保健室にいたんだろう?

 夢が幸せすぎて、全然覚えていない。
 多分これも昨日の夜更かしが原因だ……
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