無彩色なキミに恋をして。

「緋奈星さま、何を――」

「そんなに独りにさせるのが心配!?
 子供じゃないって言ったよね!?
 平気だから仕事を抜けてまでわざわざ帰ってくる事ないよッ!」

言葉を遮ってまで叫びに似た訴えで捲し立てて
これじゃ本当に子供。
ここ最近、怒ってばかりの自分に嫌気がさす。
だけど…

「そこまでわたしの《《お守》》なんてしなくていいよ。
 あなたの…重荷になりたくない…ッ」

悪夢を見たあの時のような息切れがしてギュッと胸元を掴むと、その異変に燈冴くんも手を差し伸べてくれる。

それだって放っておいてほしいとさえ思ってしまうのに
彼はそんな事しない――

「悪く考えすぎです。
 少し落ち着いてください」

「だけどッ」

「緋奈星さま!」

燈冴くんの一声が全身に伝わり
不思議と頭もクリアになって自然と目線が彼に行く。

「俺の話を聞いて。」

真剣な顔で《《そこ》》にいるのは
執事としてじゃない燈冴くんの姿。

「重荷だなんて言わないで欲しい。
 俺はそんな風に感じた事は1度もないし
 決して”お守”をしているわけでもない。
 今日は確かに早退と聞いたから戻ってきた事は間違いないでけれど、仕事として誰かに頼まれたからとか、そういう理由ではないんです」

こんな力強い言葉は
久しぶりに聞いた…




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