無彩色なキミに恋をして。

わたしがずっと駄々を捏ねているから
手を焼いているのも、迷惑掛けている事だって…
理解してる。

それなのにどうしたらいいのか…
自分の気持ちが
心がコントロール出来なくなっていて
感情のまま、口を開いてしまう。

「…元宮さんに、会ったんだね」

怖くて聞くつもりなんてなかったのに…

そのなずなのに、燈冴くんの顔を見たら
やっぱり知りたくなってしまったんだ。

「会うつもりはないって言ってたじゃん!
 なのにどうして!?
 どうして気が変わったの!?」

興奮しているせいか
言葉にすると悪意あるセリフばかり。

これじゃまるで
彼氏の浮気を疑う彼女みたい…。


勢い余って言ってしまったから息切れするわたしとは裏腹に、燈冴くんは涼しい顔をしたまま
目は据わっていて動揺なんて1つもない。
それどころか聞かれる事は想定内みたいに答える。

「彼女とは…
 個人的に御用がありましたので
 約束はしていませんがお会いしました」

あまりに真っ直ぐわたしの目を見て逸らさないから
そんなに見られると”個人的な用事”が何かなんて、聞ける感じがしない。

「そう…わかった」

そしてわたしはまた
一歩、踏み込んだ質問が出来なくて
彼に背中を向ける。

「今日は疲れたから
 もう寝ます」

そうやって逃げてばかりだ―――




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