冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす

お客さんも「生放送だって」と騒ぎながら、各々のスマホで同じ番組を見始めた。

「瀬川が出てんの?」

桐生さんも五番テーブルからカウンターまでやって来て、「失礼します」と一方的な許可をとって中へと入っていく。
私も吸い寄せられるように、控え室のテレビの前に立っていた。

『瀬川さんがインタビューを受けてくださるのは初めてですよね。ありがとうございます。なぜ急に受けてくださる気になったのですか?』

インタビュアーは、あの、いつもの上手なアナウンサーだ。

『こちらも、伝えたいことがいろいろとあるので』

『珍しいですねぇ。明日は雪でしょうか。それでは今日はいろいろとお聞きしましょう。まずは、なぜAIを作るようになったのかお聞かせいただけますか?』

『……これは、気味が悪いと思われる気がして誰にも話していないのですが……AIを作るようになった理由は……』

私も、桐生さんも、お客さんたちも、カフェの中の時間が止まる。
全員が瀬川さんの答えを待った。
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