冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
すでに女性と住んでいるのに私を呼びつけたの?と不満がよぎったが、出会ってから今までずっと不可思議たった彼の行動にはもうまともな予測が立てられない。
「あの……今のはどちらさまですか?」
素直にそう尋ねる。
彼はうなずいて「紹介する」と返し、女性のいる方へ「こっちへ来て挨拶しろ」と声をかけた。私は息を呑んだ。
すると突き当たりのリビングの扉が開き、そこから私の予想のはるか上をいく〝彼女〟が現れたのだ。
『はじめまして。ζです』
彼女は白い胴体の上に乗った同じく白い頭部をふわりと浮かせ、目があるはずの位置にアイマスク状にくっついた黒の液晶に、青い光を点滅させている。
胴体からは、上腕と前腕に分かれて継目の黒い球体でなめらかに動く腕らしきものがきちんと伸び、先っぽには指までしっかりとした手が着いている。足はなく、ルンバのように近づいてきた。