冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
人だかりと鉢合わせにならないよう裏口から出してもらい、マンションへと戻る。
心臓の不穏な音が止まらず、緊張状態が続いたまま中へ入った。
『お帰りなさいませ。どうしました? お仕事は?』
一時間もしないうちに帰ってきた私を玄関で出迎えたジータは、また青いハテナマークを浮かべている。
「今日シフト入ってなかったのに、間違えちゃったみたいで。ドジだよね」
引きつった顔しかできないため目を合わさず、すぐに夫婦の寝室へと引っ込んだ。
私と瀬川さんは同じベッドで寝ているが、キングサイズのベッドでは重なりあうことも、肩が触れたことさえなかった。
彼は普段から在宅勤務で研究所のような書斎に込もっているし、私が眠ってからベッドに入る。
ひとりきりの昼の寝室は、恐怖や心細さを助長するようで落ち着かない。