冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
「芽衣ちゃん、今日は帰った方がいいかもしれないよ。人が集まってきちゃってるし、心ない言葉を投げられてしまう可能性もあるし……。あ、誤解してほしくないんだけど、僕らはべつに迷惑とかじゃないんだ。ただ芽衣ちゃんが心配で」
「……なんのことですか?」
響子さんは店長と顔を見合せ、スマホを取り出す。
ふたりのただならぬ雰囲気が恐くなりながら、響子さんに近づいて手もとを覗いた。
最近は見るのが怖くて開いていなかったネット記事が映し出されている。
【ブレイン瀬川社長の嫁の正体はカフェ店員だった!?】
〝カフェ店員〟というワードにドキリとする。今までテレビで騒がれたときでさえここまでの危機感はなかったのに、実際に特定される内容を書かれると一気に恐くなった。
「店名は出されてないけど、付近の写真が載ってるから特定されちゃったみたい」
「そんな……」
恐怖でいっぱいになった次は、お店への申し訳なさが湧いてきた。
「私のせいでご迷惑かけてしまって、すみません……」
「ううん! 私たちは全然いいのよ! でも芽衣ちゃん、あんまり気にしないで。ネットやSNSも見ないようにした方がいいと思う」
響子さんはそう言って、記事のタイトルを見せただけでスマホをしまった。