冷徹社長はかりそめ妻を甘く攻め落とす
言葉たちは刃のように突き刺さるのに、指先のスクロールは止まらない。
【瀬川社長って見る目ないの? こんな嫁絶対連れて歩きたくない】
写真の上部が現れ、心臓が止まりそうだった。くりぃむの森へ向かう無防備な私の姿が写っていたのだ。
顔はギリギリ見えないが、気の抜けた歩き方やなにを着てもダサいうしろ姿、ありふれているがキマらない髪型は、すぐに私だとわかる。
〝こんな嫁〟と称された写真の中の私はたしかに、季節外れに勘違いで咲いたひまわりのように悪目立ちしている。
こんなに変だと自分では気づかなかった。
【瀬川社長の嫁なのにダサい店員続けてる時点でヤバい女確定】
すべてを見ることはできそうになかった。スクロールはいつまでも終わらないし、リアルタイムで次々に更新されるのだ。
自分へ向けられた悪意ある言葉の破壊力は、想像以上だったのだ。
反発心が湧く隙などない。悲しみが押し寄せると同時に、私もなぜ、この写真の女が調子に乗って瀬川さんの隣に居座るのだろうと自分を責めていた。