貧乏伯爵令嬢の世にも素敵な!?婚活事情
「それから、君達!!」
カーティスの熱い呼びかけはまだ続く。
ここで団員達は忘れていた。確かに、カーティスはフェルナンの親友であることに間違いない。
だがこの男、実践的な実力はナンバーツーであるものの、その隠し切れない腹黒さと性格難、奔放な女性関係が理由で(加えて、本人の希望もあるとかないとか)、副団長に次ぐ三番手にすぎないということを。つまり、彼に決定権はない。あるとしたら、このむさ苦しい男達のどこかに埋もれている副団長だ。
しかし、気付けばほとんどの団員が集まっており、この中から副団長を見つけるなど相当難しそうだ。見つけ出されたとしても、今のこの雰囲気の中では副団長も認めざるを得ないだろうが。
「団長とジェシカ嬢が夜会に出席した際は、何をさしおいても二人をお守りするように!!」
(それはダメだろう……)
カーティスの常軌を逸したシャウトに疑問を感じたのはフェルナンだけだ。すっかり洗脳状態にある騎士達は、〝おぉ――!!〟とこぶしを突き上げている。
(なんだ、このいつにない団結感は……)
戸惑うフェルナンをよそに、ついには円陣まで組み出した彼らは、〝ほら、団長も。ほら〟と、それはもうよい笑顔で謎の誘いをかけてくる。
「いや、私は二人の婚約を広めて欲しいと企んだだけなのだが……」
と言うフェルナンの呟きは拾われず。
いや、唯一聞こえていたカーティスは親友の呟きを聞き流して、その腕をとって強引に円陣の中に引き込んだ。
「野郎ども、わかったな!!」
「「「おぉ―――――――!!」」」
何の集団なのか、もはやフェルナンにもわからなくなっていた。
それでも慕ってくれた故だとはわかっていただけに、今回は自分のあずかり知らぬことだとしておこうと決めた。
* * *
騎士達の上げた野太い雄叫びは、団の詰め所を超えて城の方にも聞こえていたようで……。
やや歳いった者達が〝すわ、戦か!?〟と狼狽え、急ぎ足で会議室へ向かっていた宰相は思わずつんのめったらしい。
カーティスの熱い呼びかけはまだ続く。
ここで団員達は忘れていた。確かに、カーティスはフェルナンの親友であることに間違いない。
だがこの男、実践的な実力はナンバーツーであるものの、その隠し切れない腹黒さと性格難、奔放な女性関係が理由で(加えて、本人の希望もあるとかないとか)、副団長に次ぐ三番手にすぎないということを。つまり、彼に決定権はない。あるとしたら、このむさ苦しい男達のどこかに埋もれている副団長だ。
しかし、気付けばほとんどの団員が集まっており、この中から副団長を見つけるなど相当難しそうだ。見つけ出されたとしても、今のこの雰囲気の中では副団長も認めざるを得ないだろうが。
「団長とジェシカ嬢が夜会に出席した際は、何をさしおいても二人をお守りするように!!」
(それはダメだろう……)
カーティスの常軌を逸したシャウトに疑問を感じたのはフェルナンだけだ。すっかり洗脳状態にある騎士達は、〝おぉ――!!〟とこぶしを突き上げている。
(なんだ、このいつにない団結感は……)
戸惑うフェルナンをよそに、ついには円陣まで組み出した彼らは、〝ほら、団長も。ほら〟と、それはもうよい笑顔で謎の誘いをかけてくる。
「いや、私は二人の婚約を広めて欲しいと企んだだけなのだが……」
と言うフェルナンの呟きは拾われず。
いや、唯一聞こえていたカーティスは親友の呟きを聞き流して、その腕をとって強引に円陣の中に引き込んだ。
「野郎ども、わかったな!!」
「「「おぉ―――――――!!」」」
何の集団なのか、もはやフェルナンにもわからなくなっていた。
それでも慕ってくれた故だとはわかっていただけに、今回は自分のあずかり知らぬことだとしておこうと決めた。
* * *
騎士達の上げた野太い雄叫びは、団の詰め所を超えて城の方にも聞こえていたようで……。
やや歳いった者達が〝すわ、戦か!?〟と狼狽え、急ぎ足で会議室へ向かっていた宰相は思わずつんのめったらしい。