関係に名前を付けたがらない私たち
 優希以外の二人とも少し話しはしたけれど、なぜか優希と気が合い、私たちは何となく隣同士に座ってくだらない話で盛り上がった。

 主にはノストラダムスとか、陰謀論ばかりだったけど。

 私はその時21歳を間近に控えた二十歳で、優希は27歳だった。
緩くかけたパーマをくしゃくしゃと癖毛風に揉み込んだ髪型はいかにもお洒落男子という感じで、職業を聞けば美容師、しかも店長をやっているというから妙に納得した。

「6才も上には見えない! お洒落だし若く見えるよ。でも馴れ馴れしく呼び捨てじゃなくて、優希殿って呼んだほうがいい?」

「なんで殿なんだよ」

「ええ、結構な年上だもん。敬ったほうがいいかなあって」

「でも俺の前の彼女、あいぼんと同い年だったよ」

 さらっと『前の彼女』と言ったということは、現在は彼女がいないということだろうか。
いや、必ずしもそうとは限らない……モヤモヤするのが嫌いなタチなので、思い切ってストレートに聞いてみることにした。私の人怖じしないしない性格は割と好き。

「優希は今彼女いるの?」

「いないよ」

 本当かよ。と胡乱な目を向けた時だった。

「あいぼんは、まだ耕平と付き合ってんの?」と不意に爆弾を落とされ、思い切り咽せてしまった。

 知ってたんかよ―――
 思わず仰け反った。
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