朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「え……これ……。この色……」

「そ、それ『撫子色』って言うらしい。
お、お前の名前まんまだったから……」

ダメだ! 恥ずかしすぎる!
やっぱり菓子にすれば良かった。

「………ありがとう。すっごく嬉しい!
よく知ってたね? 撫子色の事」

「日本の伝統色なんだろう?
ポップに書いてた。
お前の着物の色と同じだったから、取り上げてみたら『撫子色』って書いてて、それで初めて知った」

「フフフ、うん。
あの振袖は、両親が私の成人式のために、有名な作家さんにお願いして作ってもらった一点モノなの。撫子色で、って…
よく覚えてたね?」

「……まあ、普通覚えているだろう」

似合っていたから、とは恥ずかしくて言えなかった。

「真、これ大事にするね?
毎日使っちゃう。ありがとう〜!」

思った以上に喜んでくれたので、よしとしよう。やっと肩の荷が降りた。

だが、俺の気分が上々だったのはそこまでだった。
その後、撫子から聞かされた話に、打ちのめされてしまう。
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