朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「い、泉、ごめんっ!
なんで俺気づかなかったんだろう。
い、今すぐ買いに行こっ!!」

「はい?
ちょっと待って。
京、気持ちは嬉しいけど、今はそれどころじゃないでしょう?
社長室に行ったんだよね?
ブライダルフェスティバルの件どうなったの?
こっちも桐野屋呉服店の工房訪問のことがあるから、早急に話を詰めないと…」

「あ、うん……そうだよな……」

「まあまあ、僕が言っといてなんだけど、何も今すぐって話じゃないでしょ。
普通は記念日とかなんじゃないの? プレゼントは。
それより、泉さんの言う通りだ。
布の件、良かったらこれから聞かせてくれるかな? 時間ある? 僕から常務に許可を取ろうか」

「いえ、今日は常務、もう講演会場に向かわれてます。
私も同行のはずだったんですが、昨日の桐野屋呉服店の報告があったので、私は会社に残るようにと指示があったんです」

「そりゃ有難い心遣いだ。
じゃあ早速だけど、これから話を聞きたい」

「はい、もちろんです。
常務から部屋を使う許可も得ていますので、どうぞこちらへ」

それから俺達は常務室で昨日の撫子とのやりとりを聞いた。

あちらは撫子の実家のすぐ横に工房があるらしく、明日にでも青磁さんが直接商談に応じてくれるということだった。
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