朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「泉ちゃんは、いつくらいになるのかしら?
少し早めに夕食にしようと思っていたのよ」

「泉も最後の百貨店を出たみたいだから、もうこっちに向かってるわ。待っていたらあの子が気にするから、先に始めましょう。
葉子さん、何か手伝えることはありますか?」

母の合図で、夕食の準備が始まった。



「だー」

仁貴はずり這いで、1番近くにいる葉子さんのところへ行こうとする。
すると花が大声で伯父さんを呼んだ。

「お父さん! 仁貴をみてて。
大人がバタバタしているから、危ないわ」

「よーし。仁貴、仁じいちゃんと遊ぼうなー」

久しぶりに会う伯父は……。
目に入れても痛くないとはこの事なのだろう。
とにかく孫が可愛くて仕方ないらしい。
大変ニヤけている。

すごいな。
たった1人のこの小さな存在が、ここにいる全ての人をこうも変えてしまうとは……。

案内された二間続きの和室は、レジデンスの中に、まさかこんな空間があるとは……という、とんでもない広さだった。

仕出しは和洋取り揃えた御祝い膳だ。ボリュームがすごい。これならまだまだ食べ盛りの宣も満足することだろう。

父が乾杯の音頭をとり、晩餐が始まった。
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