朝倉家の双子、恋をします!〜めぐり来る季節をあなたと〜
「はい。ナコからも兄からも聞いています。
……今日、姫とは会うんでしょうか?
ショーに彼女の名前を見たんですけど……」

「タイムテーブルで言うと、少し離れているかしら」

そう言って見せられた表は、今日のモデル達の出演順だった。

姫は全体のちょうど真ん中くらいに名前が載っている。

「姫のことだけど……達矢が頼りないから、ナコちゃんに迷惑をかけちゃって、本当に申し訳なく思っているの。
あんな格好、若い女の子がするなんて有り得ないわよ。
しかも今日なんて、皆んなおしゃれをして最大限に着飾って来ているわよ。
この会場で少しでも綺麗に見えるようにね」

「……ナコは昔からあまり愚痴を言ったりする子じゃないんです。明るくてお喋りだけどサバサバしていて、でもすっごく気遣いのできる子で…。
自分が我慢すればいいって考えてて……いつも損してる。
我慢強いのも考えものです」

「……泉さん」

「もっとわがままを言ってもいいのに…」

「そうね。私もそう思うわ。
あなたのお兄さんも心配してた。
迷惑をかけているのは私達なんだけど」

「亜希さんのせいでは……。
正直なところ、達矢さんのせいでも実際はない訳ですし」

そう。嫌がらせをしている人のせい。
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