愛するあなたへ〜blue roseを私にください
【知られてはいけない気持ち】
「今度の金曜日は、ご馳走するね!」
次の週、曽根さんから、満面な笑顔でお誘いを受けた。
今週の金曜日、社長は終日外出予定だし、急な仕事はないだろう。
「はい、お願いします」
今週は絶対に約束を守ろう。

社長との仕事を補助することも多くなってきて、資料を見て、疑問に思ったり、興味があるところを質問すると、時間があれば嫌な顔せず、説明してくれた。
社長の思いが伝わってきて、きっとお客様もこんな気持ちになるんだろうなと、とてもわくわくした。

もうそろそろ帰ろうと、ふと机に飾ってるブリザードフラワーのblue roseを見ていた。
私の夢か・・・
今の夢は、社長の傍にずっといたい。
願わくば、仕事以外でも・・・

「日比野さん、お疲れ様。仕事、大丈夫?」
社長が声を掛けてきた。
「はい、もう帰ります」
「どうしたの?そんなにblue rose見つめて」
「大好きなんです。不可能から夢叶うに花言葉が変わったblue roseを見ると、努力していたら、いつか夢が叶うという希望が持てるんです」
「いい心掛けだね。日比野さんの夢って何?」
「そ、それは言えません」
「まぁ、頑張り屋の日比野さんだから、きっと叶うさ」
顔が赤くなるほどの恥ずかしさと同時に、叶わない夢であることに、胸が苦しくなった。
それも本人から言われるとかなりきつい。
「昔のblue roseの花言葉・・・不可能に近いです。では、お先に失礼します」
私は社長に精一杯の笑顔で挨拶し、事務所を出て行った。
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