愛するあなたへ〜blue roseを私にください
【恋してはいけない人】
前の会社は、結構のんびりとしていたから、翔羽に入ってからは覚えることも多く、社長の資料準備やコンサル部の人達のお手伝いもしたりと、忙しい毎日で、あっという間に4ヶ月が過ぎていった。

「社長、この案件について、個別でご相談したいのですがぁ、今から2人で打ち合わせできるお時間ありますかぁ?」
猫なで声で、小道さんが書類を持って社長に寄って来た。

小道さんは別のコンサル会社から転職して来た人で、私より少し前に入社したらしい。
「あぁ、いいよ」
社長と小道さんは会議室へ入って行った。
「残念ね、小道さん」
ため息交じりの佐野さんの言葉の意味は、後から分かることになった。

会議室から出てきた小道さんは、入って行った時の色気を放つ笑顔から一転して、顔を赤くして泣きそうな顔をしていた。
「どうしたんでしょう?小道さん、様子が変ですね」
「質問攻めで、追い込まれたんでしょうね」
「えっ?」
「うちの社長、仕事も出来るし、見た目も良いから、皆、社長に喜んで貰うために仕事して、その思いが更に屈折するのよね。困ったものだわ」
「どういうことですか?」
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