愛するあなたへ〜blue roseを私にください
明くる日の土曜日の朝早く、私と翔さんは実家へと向かった。

「ただいま、お父さん、お母さん、純太も」
「お帰り。羽瀬さん、この度は、春花と私達家族がお世話お掛けしまして・・・」
3人は翔さんに深々とお辞儀をしていた。
私も慌てて頭を下げた。

「頭を上げてください。春花まで・・・改めまして、春花さんとお付き合いさせていただいています、羽瀬翔です。今日で話を終わらせますので、ご安心下さい」
「あの、どうぞ中にお入りください。春花、お部屋へご案内して」
「その前に、工場を見せていただいていいですか?」
「えぇ、でも、今日は休みにしているんですよ。春花がお見合いするなんてこと、従業員が知ったら、きっと大騒ぎになりますから」
「温かいお話ですね。では直ぐに戻ってきますから」

翔さんと2人で工場に向かって、中を案内した。
「この間、お父さんと話して、申告書も見せてもらったよ。これから純太くんが継承していくから、老朽化した機械は修繕費が増えるし、機械の入替えになると資金調達も必要になる。
これからは、俺がこの会社のコンサルをするよ。純太くんの代も技術が受け継がれていけるようにね」
「うち、コンサル料払えるような余裕ないですよ」
翔さんは、凄く険しい顔をして、私を見つめた。
「何を言ってるの?取るわけないだろ」
呆れたようにその場から離れて、工場を歩き出した。
「そろそろだね。戻ろうか」
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