愛するあなたへ〜blue roseを私にください
お見合いを条件になど一切していないこと、それと、最近好きな人が出来たから、そろそろ家族に紹介しようと思っていたことを伝えていた。

その話を聞き終えると、お父さんとお母さんは、ただ泣きながら喜んでいた。
「羽瀬さん、本当に有難うございます。何てお礼を申し上げていいか・・・」
「いえ、私1人の力ではありませんから。それと、波月商事のご子息から、直接会ってお詫びしたいと申し出がありまして。このようになっていることは、田中さんは知りません。私達も明日の朝にこちらを出ます。明日は私に任せてください」
「何から何までご迷惑お掛けします」
お父さんとお母さんは画面越しに何度も頭を下げ、純太が手を振って画面が消えた。

「翔さん、ありがとうございました」
私は製作所を守れたこと、お見合いしなくて良かった事で、安心して力が抜けた。
「春花、明日は早いから横になろうか」
翔さんはベッドに入ると、私を抱きしめた。
「皆の協力で、1週間で解決できた。良かったよ。春花を離さずに済んだ」
翔さんに退職届を出したあの夜から、翔さんは仕事をこなしながら、私の事でも色々と調べていたので、2人で横になるのは久々だった。
「翔さん?」
腕の力が緩み、ふと翔さんを見ると、静かに寝息を立てて、眠っていた。
「私の大切な人達を守ってくれてありがとうございます。大好きです」
そっと、唇に口づけをして、私も眠りについた。
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